専攻案内

修了生からのメッセージ

名古屋大学大学院工学研究科 機械理工学専攻
義家 亮(Ryo Yoshiie) 平成9年博士後期課程修了

 創造エネルギー専攻には修士1年から5年間お世話になりました。修士2年の夏,博士後期課程への進学を決めた動機は単純なものでした。研究室生活が楽しい,研究室の先生方や先輩方や仲間ともっと長い時間を過ごしたい,それだけの理由でした。今から考えてみればその後の進路に大きく影響した決断でしたが,その単純な気持ちにしたがってよかったと思います。今,私は名古屋大学大学院工学研究科機械理工学専攻において,次世代型火力発電や廃棄物発電の基礎となる石炭やバイオマス等の燃焼とガス化,それらにともなう環境保全技術の開発に従事しています。大学院生当時に取り組んだMHD発電の研究からはだいぶ長い距離を歩いてきた気もしますが,私の中では「エネルギー変換の発展に寄与する」という大きな柱はがっちりと保たれています。創造エネルギー専攻には,多様なバックグランドを持って集まる学生,多様な研究テーマ,それらを許容する先生方の器量,それらの結果として醸し出される自由闊達な雰囲気があります。そのすべてが,物事に柔軟に対応しつつも揺るがない柱を自分の中で育て上げていくための礎となるのだろうと思います。

株式会社 日立製作所
富安 邦彦(Kunihiko Tomiyasu) 平成22年博士後期課程修了

 私は学部4年時から堀田研究室にお世話になり,静電閉じ込め核融合装置の研究開発に携わりました。修士課程修了後に一度就職し,少し異なる分野で3年間研究活動に従事しましたが,それまでに学んできたプラズマ工学の分野で博士号を取得して研究を続けていきたいと思い,退職して博士後期課程に再入学しました。私のような経歴を持つ人は少ないと思っていたのですが,在学生や先生方の中にも同様の方が複数いらっしゃり,とても驚いたことを覚えています。
 本専攻は多数の大学の様々な分野からの学生が集まってきており,とても多様性に富んだ集団だと思います。当時の仲間とは,今でも年に数回は集まり,酒を酌み交わしながら世間話をしたり,近況報告をし合ったりしています。また,本専攻は学生と先生方との距離が近く,広い視野から自分の専門分野にアプローチできる環境であることが,一つの特長だと思います。修士課程では,本学の交換留学制度を利用して米国のウィスコンシン大学で1年間学ぶ機会に恵まれました。異文化を体験し,その中で授業や研究を行い,またそれを通して日本を再認識するという意味で,とても有用な経験をすることができました。
 現在は,日立製作所のエネルギー・環境システム研究所に勤務し,送変電システムにおける遮断器の研究開発に従事しています。これまで学んできた知識・技術を生かし,またさらにそれらを磨き上げていきながら,社会に貢献していきたいと思っています。

核融合科学研究所 大型ヘリカル研究部
濱口 真司(Shinji Hamaguchi) 平成10年博士後期課程修了

 東京工業大学応用物理学科の制度で学部4年時から創造エネルギー専攻の研究室を選択することができました。そこで,常々から危機感を抱いていたエネルギー問題と環境問題の解決の一役を担いたいと思い,MHD(磁性流体力学)発電の研究グループを志望しました。それから博士号を取得するまでの6年間,一貫としてMHD発電に必要な強磁場を発生する超伝導マグネットの超流動ヘリウム冷却に関する研究を行ないました。研究を続ける中,超流動ヘリウムだけが持つ特異な性質を利用した新たな冷却方法の発想が芽生え,それを実現するために博士課程に進学することを決めました。博士課程では自分の研究だけでなく後輩の指導も行ないましたが,そのことで気付かされることも多く,大変有意義であったと思います。またMHD発電には様々な技術が必要で,所属している学生の研究分野も多岐にわたっているため,自然に他分野との研究交流が行なわれ,研究を遂行する上でよい刺激となるだけでなく,視野も拡げることができたと思います。現在,自然科学研究機構核融合科学研究所(岐阜県土岐市)にて,核融合炉用大型超伝導マグネットの冷却システムに関する研究に従事しています。装置はMHDからLHD(大型ヘリカル装置)に変わりましたが,研究の目的は同じく環境に優しい新エネルギー源の開発です。大学院に入学した時の志と,学生時代に行なった研究は今も生きています。

コニカミノルタ株式会社
後藤 優(Yu Goto)  平成21年修士課程修了

 学部では物理学科で素粒子物理理論の研究室に所属しており,授業以外で全く実験をしておらず,最初は環境の変化に驚き戸惑いました。
 修士での研究テーマは大気圧プラズマを用いた温室効果ガスの分解処理装置の開発で,私はプラズマの安定生成,ガス分解率の測定および副生成物の低減と処理法の検討に取り組みました。プラズマ装置は,マッチングボックスの調子が悪いときは電力を入れすぎるとすぐ放電してしまいます。そのため研究室に入りたての頃は,失敗を恐れて消極的になってしまうときもありましたが,周囲の学生さんが研究に取り組む姿から,できるかどうかはわからないけれども積極的に粘り強く取り組む前向きな姿勢が大切だということを学びました。他にも東工大での研究生活は,周囲の方々に助けていただきながら実験を進めつつ国内外の学会で成果を発表したり,先生や研究室のみなさまと特許を申請したり,何よりもいろいろな分野をバックグラウンドに持つ仲間に出会ったり,新しいことに取り組む機会や出会いが本当に多く,多忙で刺激的な研究生活でした。卒業した後も,東工大で学んだことを生かして積極的に技術者として社会に貢献していきたいと思います。

株式会社 東芝
田嶋 直樹(Naoki Tajima) 平成20年9月 博士(工学)取得

 私は創造エネルギー専攻堀岡研究室に在籍し,ガンマ線によるポリ塩化ビフェニール(PCB)の分解に関する研究を行いました。当時携わっていた紫外線によるPCB無害化処理に関する研究開発の業務では,成果をまとめる必要性を感じていました。恩師である堀岡教授に相談したところ,社会人博士課程への入学を勧められ,久しぶりの学生となりました。大岡山の原子炉工学研究所のガンマ線照射施設を使用させて頂きながら,研究を遂行することができました。
 学生生活で印象に残っていることは,先生方や現役学生の方々との交流です。何気ない会話にも日頃の業務とは異なる視点の考え方が随所にあり,物事の捉え方が大きく変わりました。英語での中間発表会の前には,先生方や修士の学生さんとともに夜遅くまで発表練習をさせて頂きました。最終審査や論文提出が近づくころは,業務多忙の時期で苦労しましたが,先生や家族の励ましで乗り切ることができました。
 社会人博士課程に関心を持たれている方の多くは,業務との両立を心配されると思います。正直なところ両立は大変で,苦労もしますが,会社生活にはない多くのものが得られます。特に,研究に対するモチベーションが高まることや,研究成果を学位論文として体系的にまとめあげることに対する達成感は大きく,大きな自信が得られることでしょう。社会人博士課程で得たことはすべて自分への財産に還元されると言っても過言ではないと思っています。ぜひ皆さんもチャレンジを。